【これから「分散型取引所」の話をしよう】ERCトークン取引所Radar 3/n

前回は0xプロトコルの概要を說明しました。0xプロトコルはEthereumネットワーク上に分散型取引所を作るための仕組みであり、オーダーブックを管理する要素としてリレイヤーという役割があるのでした。0x上の分散型取引所における売買はオンチェーンのスマートコントラクト上で行われますが、オーダーブックの管理はオフチェーンで行うことによって、従来の仕組み比べて低コストかつ高速に処理を行えるようになりました。

【これから「分散型取引所」の話をしよう】0xプロトコル上のリレイヤーとは何か? 2/n

今回は、0xプロトコルを用いたリレイヤーの一つであるRader Relayについて簡単に解説します。

公式ブログによるとRadar Relayは10人以下のリーンスタートアップで、現在0xプロトコルを用いた分散型取引所Raderのベータ版を公開しています。取引所を確認したところ現時点で取引高はほとんどないようですが、以下のトークンの取引が可能です。

Raderを使うために必要なもの

Raderにおける取引には以下の4つが必要です。

  1. MetaMask
  2. 交換のために使用したいトークン
  3. Wrapped ETH
  4. ZRXトークン

MetaMask

MetaMaskはEthereumブロックチェーンとChromeを繋ぐ役割を果たすエクステンションで、ウォレットとしても使えます。

EthereumのID管理プラグイン MetaMaskは、Ethereumを用いる分散型アプリケーション(DApps)にアクセスしやすくするためのプラグインです。
MetaMask

WETH

Wrapped ETHに関してはRader Replayの説明が分かりやすいです。簡単にいえば、0xプロトコルはERC20に準拠したトークンの売買を可能にするものですが、ETHはERC20という基準ができる前から存在するネイティブトークンなので、ETH自体はERC20に準拠しておらず、ETHを0xプロトコル上で売買するためには、ETHをERC20に準拠したトークンに変換しなければならない、ということのようです。

ZRXトークン

Rader上で行われるトークンの交換には手数料としてZRXが用いられますが、ZRXがない場合はETHで代用できるようです。ただし、Rader上でETH/ZRXペアのオーダーブックを参照し、取引手数料として必要な分のETHがZRXと交換されるので、スプレッドが大きかったり、他の取引所と比較してレートが悪かったりする場合には注意が必要です。

Raderの手数料

手数料はメイカーが0.45%、テイカーが0.7%となっており、PoloniexやBittrex等の中央集権型取引に比べるとかなり高いです。Bittrexは全てのトレードが0.25%、Poloniexはメイカー0.15%、テイカー0.25%スタートで取引高に反比例して、手数料が安くなっていく体系になっています。

分散型取引所の難しさ

どうしても既存の中央集権型取引所と比較すると手数料が高くなってしまいます。これは0xプロトコル特有の問題ではなくKyberNetwork等の類似のプロジェクトにおいても存在する弱点です。結局オーダーブックを管理するコスト以上の利益がないと、その枠割を果たす理由がないわけで、そのインセンティブの役割を果たすのは手数料であったり、スプレッドであったりでするわけです。そうなると、オーダーブックも取引の約定も一手に管理する中央集権型取引所がこの部分においては大きな強みを持っていることになります。

暗号通貨界隈においてカウンターパーティーリスクを減らすことが如何に重要で、法規制によって簡単にダメージを負ってしまうエコシステムが如何に脆弱であるかは誰もが認めるところではあると思います。ただし、だからといって次のトレーディングを分散型取引所で始めるかといえばそうではなく、ダメージは大きいが発生する確率は低いリスク(取引所に対するハッキングや倒産など)を無視して、あるいは受け入れて、中央集権型取引所を使用する方が大多数でしょう。

とはいえ、中央集権型取引所が法規制等によって運営できなくなってから分散型取引所の研究や開発を始めても遅すぎるので、今後も分散型取引所の開発は継続されるべきですし、暗号通貨市場の規模が大きくなった時に、分散型取引所が果たせる役割は大きいと思っています。