『マスタリング・イーサリアム』の翻訳に参加しました。

【Weekly Ethereum 2018 Vol.52】Constantinople, ETH2.0, Casper CBC, 2018 Recap

Weekly Ethereum 2018

Ethereumインフラ

Tuurの批判とVitalikの反論

Vitalikの反論はこちら。

Tuur’s criticism discussion thread : ethereum

What’s New in Eth2 by Ben Edgington (PegaSys)

28 December 2018 – HackMD

Constantinople解説

地味であまり注目されていない次回ハードフォークの説明です。

Ethereum Constantinople Hard Fork | Everything You Need to Know

Ethereum図解

上のBen Edgingtonが属するPegaSysのEthereum図解です。かなり有用。

PegaSys // Ethereum Explained: Merkle Trees, World State, Transactions, and More

Plasmaについて by Sgさん

Plasmaは「履歴中心設計」と「Challenge完全性」がポイントである|sg|note

Raidenの成長

個人的にもスクショ取って定期的に保存しています。

短いENSのドメインが利用可能に

ENS(Ethereum Name Service),より短いドメイン名のオークションを開始へ | ビットコインの最新情報 BTCN|ビットコインニュース

Casper CBCレビュー

MIT Cryptocurrency Research

Ethereum関連プロジェクト

トークン内蔵の是非

19年は更にシビアな言説が広まると思われますが、ZRXやBATを材料にトークンの存在意義について語られています。

Application-specific currencies are an anti-pattern

その他

Bitmainレイオフ

生存率を上げるためにレイオフするのは当然のことですし、日本の規制状況を考えると羨ましくもありますね。ConsenSysもBitmainも金のなる木があるわけではないので当然だと思います。この辺は、暗号通貨の投機的性質と相性の良い取引所が強いですね(ただしトップに限る)。

ブラインド署名の説明

経済学分野(投票制度やオークション理論)の方による説明です。『マーケットデザイン』は良書でしたし、来年暗号通貨関連の新書を出版なさるようです。

Avalanche説明動画

Emin Sirerによって提案されたAvalancheをDogecoin作成者でクリプト系YouTuberのJackson Plamerが開設しています。ちなみにAvalancheは雪崩とか崩壊という意味です。

https://twitter.com/ummjackson/status/1078030173482565632

1年を簡単に振り返ってみる

スマコンプラットフォーム系

Weekly Ethereumは年初に思いつきで始めたものでしたが、当初の「Ethereumであれば話題に困ることはないから更新ネタに困ることはないだろう」という狙い通りで、むしろ自分の時間が足りないほどでした。

これはつまり「Ethereumのエコシステムでは毎週様々なことが起こっている」ことを意味するわけですが、その一方で「それらの活動はEtherの価格上昇には必ずしも寄与しない」し、「これだけ優秀な人間何百人単位で夢中になって働いても、Ethereumの実利用にはまだまだ時間がかかる。Etherにこれだけの資金が投下されたのは、お金の流れが技術進展速度に比べて早すぎる」ことを意味します。これはEthereumに限らず、どのプロジェクトでもいえることです。恐らく暗号通貨以外の分野にも当てはまるのではないでしょうか。お金に内蔵されているセンサーが強力になり、良さそうな案件があればすぐにそこに飛んでいくような資金調達には恵まれている時期だと思います。逆にいうと個人投資家には辛い時期かもしれません。

18年は価格は下落し続け、ショートINしていない新規参入組は軒並み含み損、もしくは撤退している状態ですが、17年であれば市場が反応したであろうニュースに溢れています。EOS, Tezos, Aeternityがメインネットローンチしており、Zilliqaも開発が続いています。Rchainのようにトラブルによって価格が暴落し、プロジェクトの存続が危ぶまれているところもありますが、開発という側面でいうとビットコインのみならず、スマコン系も実は華やかな発展を遂げたのが18年だったように思います。

19年はDFINITYやThunderCore, NEARといったプロジェクトもローンチされる可能性があります。仕様の上では技術的にEthereumを凌ぐプロジェクトも出てくるかもしれませんが、それだけで先行者を追い抜くことができないのはビットコインが示している通りです。現状Ethereumの大きな弱点は流通コインの大半がプレマインされている点ですが、スマコンプレットフォーム系は処理速度の点でどうしてもビットコインと同じNakamoto consensusの採用が難しく、初期のディストリビューションに課題を残す仕組みを使わざるを得ないのが後発プロジェクトにとっても難しいところです。

結局、既存のEthereumという資産をうまく使いつつ、EVM互換やクロスチェーンで繋ぐか、Ethereumのメインチェーンを最高裁判所的に使いながら自分たちのプロジェクトをはめ込んでいくスタイルになる気がします。

19年のEthereumはウェブへのさらなる浸透と不可視化が進むのがメインストリームかなと思います。全く新しい何かを作るよりも既存の価値に接続したほうがユースケースを探すのも楽です。

個人的には真のDAOが出てくることを期待しており、今でも現行の法整備においては法人となれない「境界の曖昧なシステム」こそがEthereumのキラーアプリだと信じているので、そちらも期待したいと思います。実はTokenLabも最初からDAOで運営するプランもあったのですが、初期の加速が難しいということで今の形を取りました。

ビットコイン

ビットコイン自体は「今後コード変更がなされなかったとしても生き残る可能性のある唯一のコイン」だと思っているのですが、セカンドレイヤー、特にライトニングネットワークの盛り上がりに加えて、各国の法整備や機関投資家等のプレイヤーの参入などポジティブな要素がどんどん増えてきていると思います。ライトニングネットワークの認知度は今もかなり低いですが、認知度が上がった時点で過度な期待がなされることは間違いないので、そうなったら適切に割引率を考える必要があります。

ネガティブな要素としては予想以上に早く普及してきているステーブルトークンが挙げられます。キャッシュリッチな取引所がサポートしており、更に法定通貨担保型のステーブルトークンはそれ自体が一定の利益を生むビジネスモデルであるという点で、加速度と持続性の両面が強力です。ステーブルトークンがあれば、BTC経由でアルトコインを買う必要がありませんから、今までの買い圧力が小さくなります。

ビットコインキャッシュの分裂に伴ってPoWの欠点が一瞬騒がれたりもしましたが、PoWの問題点は以前から議論されており、新情報ではありませんし、Bitmainのレイオフも同じようなことは以前からあったので特にネガティブだとは思いません。

その他

今年はスマコン系とビットコインの所謂プロトコルレイヤーばかりを追ってきたので、アプリケーションレイヤーについてはあまり知りませんし、熱心に追っていたDEXやMakerDAOも今年の春以降はあまり調査していないので詳しくありません。

代わりにZcashやMonero等の匿名通貨系プロジェクトへの興味が再燃したのと、秋以降はずっとMimblewimble系のGrinとBeamを調査していました。また、地味にDecredというPoW/PoSハイブリッド型の通貨系プロジェクトに興味を持ったりしてTwitterで色々つぶやいたりしたのですが、Decredに興味を持っている人が非常に少なく残念でした笑

来年はWeekly Ethereumを休止して、もう少し気楽に、このブログかサブドメインでサイトを作って、気になるプロジェクトを紹介したり、自分の意見を共有したりしたいと思います。また、暗号通貨以外にも、このブログの名前の通り、個人として生きることに関連する情報を広く共有していく予定です。