0x ProtocolをベースにしたRelayerを使って取引を行う場合、ユーザーはETHをコントラクトに送るだけでなく、ETHをWETHに変換したり、手数料としてのZRXを用意したりと、面倒なことをせざるを得ませんでした。
このようなプロセスはユーザーの満足度を低下させます。0xではそのような処理をバックグラウンドで処理する仕組みを開発しています。
0xの概要やRelayerについては以下の記事をご覧下さい。
0x Trade Widget
Sneak Peek: 0x Trade Widget – 0x Protocol
Forwarding contractと呼ばれるコントラクトが、WETHやZRXの処理をユーザーの代わりに行います。
具体的な手順は以下のとおりです。
- ユーザーはETHとオーダーをForwarding contractに送信
- Forwarding contractがETHをWETHに変換
- Forwarding contractがオーダーを0xスマートコントラクトに渡す。手数料ZRXはETHと交換したものが支払われ、WETHと手に入れたいトークンの交換が行われる。
- Forwarding contractが交換されたトークンをユーザーに返す
現在は開発中ですが、将来的にはERC-721のサポートも計画しているようです。
DEXの方向性
Decentralized exchangeという表現を使うと「取引所としての利用」を頭に思い浮かべてしまいますが、今年以降のメインストリームとして注目すべきなのは「DApps等のバックグラウンドでユーザーにも気付かれないうちにトークン交換の処理を行う流動性の提供者」です。
暗号トークンは自己統治達成のための自己責任によって、ユーザーには高いリテラシーが求められます。それが楽しい人には問題ないのですが、大多数の人間にとっては面倒で使いづらい代物でしかありません。
故にこのような仕組みが整備され、「いつの間にか暗号トークンを使っていた」というユースケースを増やすのは重要です。
もちろん0x Trade Widget自体にバグが見つかる可能性もあるのですが「ユーザーのリテラシーや負担を考えるとハードウェアウォレットやモバイルウォレットに保管するよりは取引所に置きっぱなしの方が安全であるケース」が存在するように、最終的にはユーザーが処理するプロセスが少なければ少ないほど良いというのが個人的な意見です。
この「DEXによる流動性の提供」では0xとKyberNetworkが結構盛んに動いていて、Bancorもかなり相性が良い分野なので、これらのプロジェクトによる競争が楽しみです。