このシリーズも第五回になりました。
前回の記事はこちら。
【MakerDAOとStablecoin】価格安定に寄与するTarget Rate Feedback MechanismとSensitivity Parameterの仕組み
時間が空いてしまいましたが、Maker DAOのWP読みを進めたいと思います。前回の記事はこちら。Target Rate Feedback Mechanism (TRFM)TRFMは市場が不安定に陥った際に作動し、DAIの価...
Risk management of The Maker Platform
リスクマネジメントのためのアクション
MKRホルダーにはリスクマネジメントに関連する以下のアクションを起こすことができます。要点のみを説明すると以下のようになります。
※分かりづらい固有名詞の頻出は避けられませんでした。リンクを貼っておくので、必要であれば過去記事に飛んでからページ内検索して下さい。
- 新しいCDPタイプの追加
固有のRisk Parameter(※後述)を持ったCDPを作成することができます。 - 既存のCDPタイプの修正
Risk Parameterの修正を行うことができます。 - Sensitivity Parameterの修正
Target Rate Feedback MechanismのSensitivityを変更することができます。 - Target Rateの修正
MKRホルダーはSensitivity ParameterとTarget Rateを修正することで、DAIの価格変動に間接的な影響を与えることが可能です。 - Trusted Oracleの選定
Maker Platformは担保やDAIの市場価格をオラクルによって取得していますが、MKRホルダーは投票によってオラクルの数や誰がオラクルとして参加できるかをコントロールすることが可能です。悪意のあるオラクルが半数以下であればシステム障害は発生しないとされています。 - Price Feed Sensitivityの修正
Price Feedの最大変化率を変更することが可能です。 - Global Settlersの選定
Maker Platformへの攻撃等が発覚したときには、Global Settlementを発動しますが、Global settlement発動に必要なSettlerの数やSettlerの選定が可能です。
Risk Parameters
それぞれのCDPは固有のRisk Parametersを持っており、Risk ParametersはCDPの使われ方をコントロールします。Risk ParametersはMKRホルダーによって直接的にコントロールされます。
どのようなパラメータがあるのか見ていきましょう。参考までにダッシュボードの画像を如何に貼り付けます。
- Debt Ceiling (現在50,000,000)
発行できるDAIの総量の上限です。 - Liquidation Ratio(現在150.000%)
ロスカットが発生する証拠金維持率のようなものですね。担保資産のボラティリティをMKRホルダーが低く見積もっていれば、この値も低くなりそうです。 - Stability Fee(現在0.000%)
CDP作成の際に支払う手数料のようなものですね。CDPユーザーによってMKRトークンで支払われます。支払われたMKRトークンはバーンされる設計になっています。 - Penalty Ratio(現在13.000%)
現時点ではEtherのみが担保資産としてしようできるので、Liquidation Penaltyによって徴収された資産は、PETHの購入とバーンに使われます。これによってPETH:ETHのレートが変化します。
次回はCDPがLiquidation Rateに達し、自動清算される際の挙動について見ていきます。