『マスタリング・イーサリアム』の翻訳に参加しました。

【Weekly Ethereum 2018 Vol.4】0x系DEX, PoW vs PoS論争, OpenZeppelin ERC721&ERC827

Weekly Ethereum 2018

本記事の主要対象期間
18年1月20日~18年1月26日

今週はEthereum本体に関するニュースは多くありませんでしたが、代わりに複数のDEXプロジェクトからのニュースが多かったですね。CoincheckのXEMハッキング事件を受けて、今後はDEXにより多くの注目が集まると思いますので、DEXのデメリットも含めて注目していきたいと思います。

インフラ関連

Ethereum Core Devs Meeting 32開催 (1月26日)

この記事を用意している間に始まったので前半しか聞いていませんが、次回のハードフォーク「Constantinople」について議論されているようでした。具体的には次回HFでのアクティベーションが予定されているEIP-86等が話題になっていました。

Proposed initial abstraction changes for Metropolis · Issue #86 · ethereum/EIPs · GitHub
Abstraction of transaction origin and signature.md by vbuterin · Pull Request #208 · ethereum/EIPs · GitHub

Ethereum Core Devs Meeting #32 [01/26/18]

Ethereum Core Devs Meeting 32 Agenda · Issue #30 · ethereum/pm · GitHub

Ethereum関連プロジェクトの動向

カナダがEthereumブロックチェーンの応用を検討 (1月20日)

National Research Council (NRC)がEthereum上に構築されたCatena Blockchain Suiteというプロダクトを使って、助成金の作成や修正が行われた場合に関連する情報がEthereumブロックチェーン上に保管されるというもののようです。

Canada trialing use of Ethereum blockchain to enhance transparency in govt funding – National | Globalnews.ca

GMOが「Z.com Cloud ブロックチェーン」正式版を提供開始 (1月22日)

取引所の運営に関しては課題もあるようですが、マイニング事業への参入も含めて、GMOの最近の動きは早いですね。

「Z.com Cloud ブロックチェーン」は、イーサリアム(※2)を利用して、ブロックチェーン上に分散型のアプリケーション(Decentralized Apps:以下、DApps)を構築できる、PaaS型のブロックチェーンプラットフォームです。

①「医療機関カルテ共有システム」・・・医療カルテの情報共有を可能にするシステム
②「トークントレーダー」・・・取引所構築システム
③「地域トークン」・・・地域ポイントの発行・運用ができるシステム
④「転売抑止チケット」・・・不正転売の抑止とチケットレス化を実現するシステム
⑤「KYC」・・・本人確認を簡単・スピーディーに行えるシステム
⑥「Pay@Table」・・・店員を呼ばずにテーブル会計ができるシステム

ブロックチェーンを活用したビジネスの実現を支援するZ.com Cloudブロックチェーン」正式版を提供開始 – GMOインターネット株式会社

ERC20トークンDEX「Amadeus Relay」がデモをリリース (1月22日)

Amadeus Relayは開発途上のプロジェクトですが、各Dappsに対して0xプロトコルを用いたDEX機能を提供し、Dapps間でのERC20トークンのやり取りを可能にすることを目指しているようです。

デモサイトはMetamaskでKovan Testnetに接続するとアクセスできます。

district0xアップデート報告 (1月23日)

district0xはEthereumネットワークを使ったDAOを志向しているプロジェクトで、提供サービスにはNAME BAZAARMEME FACTORYがあります。まだ開発段階ですが、ガバナンスに分散型統治システムのAragonを採用していたり、分散型マーケットを提供していたりと分散思考の強いプロジェクトです。

Name BazaarはEthereum Name ServiceのNameを取引できるサービスで、開発の最終段階にいるとのこと。

district0x Dev Update – January 23rd, 2018 – district0x

スマートコントラクト監査サービス提供のZeppelin SolutionsがOpenZeppelin v1.6.0をリリース (1月24日)

Zeppelin Solutionsは、コードの安全性等を監査するサービスを提供する企業で、Augur等多くのプロジェクトがこちらのサービスを利用しています。ツイートにもあるようにERC721とERC827に対応したようです。

https://twitter.com/maraoz/status/956180747475456000

Parity TechnologiesがParity 1.9をリリース (1月26日)

代表的なEthereum Clientの一つであるParityの最新版がリリースされました。詳細はこちらのGitHubよりご確認下さい。

ERC dEXがPublic Betaをリリース (1月24日)

0xプロトコルを使ったDEXの活動が活発になってきていますね。これらのDEXは0xプロトコルを用いたシステムにおけるオーダーブック管理を行うリレイヤーとして機能します。それぞれユースケースの想定やUIに差異がありますが、ユーザーとしては価格競争が始まり取引手数料が安くなるのが望ましいですね。

メディア

続くPoW vs PoS論争 (1月22日)

直接結び付けられてはいませんが、ライトコインの開発者がEthereum版PoS「Casper」を批判し始めた辺りから、PoS論争が再び活発化してきています。長いですが、興味のある方はどうぞ。

かなり専門的にはなりますが、以下のVitalik氏のブロク記事が非常に有益です。

A Proof of Stake Design Philosophy – Vitalik Buterin – Medium
Proof of Stake: How I Learned to Love Weak Subjectivity – Ethereum Blog
Minimal Slashing Conditions – Vitalik Buterin – Medium

CNBCで0xが間接的に紹介される (1月25日)

CNBCにVinny Linghamが登場。メインはビットコインの話ですが、0xに注目していると発言。0x ProtocolはEthereum上に構築されるDEXの基礎となるプロトコルです。

【これから「分散型取引所」の話をしよう】0xプロトコル上のリレイヤーとは何か? 2/n – Individua1https://twitter.com/CNBCFastMoney/status/956657903951335425