本記事の主要対象期間
18年1月13日~18年1月19日
相場動向
時価総額100位以内の銘柄は全て大幅下落 (1月16日~1月17日)
「暴落」という言葉の適切な使い方を示すような相場でした。種類を問わず市場全体が暴落し、一時は数日前の高値の半値付近まで落ちていました。
韓国の取引所規制、中国の暗号通貨関連事業規制、ドイツ連邦銀行取締役のグローバルな暗号通貨規制発言等の報道、薄い板を大口が狙って売りを仕掛けた、マイナー大手BitmainのPoloniexアカウントがハッキングされ暴落の引き金になった、Bitflyer BTCFXに乖離是正策によって下落したFX価格が他の市場にも波及した等、様々な言説が飛び交っていますが、実際のところはよく分からないんですよね。
少なくともビットコインやEthereumのようなメジャー通貨のファンダメンタルズに問題が発覚したわけではないので、「雰囲気で上がって雰囲気で下がった」としか言えません。
以下はBTCとETHの週足チャート。さすがに迫力があります。
BTCUSD
ETHUSD
時価総額100位以内だと一番下落率の低いものでも-15%でした(TetherはUSDペッグなので例外)。
Coinmarketcapのデータによると時価総額トップ100以内で直近24時間の変動率がUSD建てでプラスだった銘柄はないっぽいですね。Tetherはペッグなのでほぼ一定ですが。
Cryptocurrency Market Capitalizations | CoinMarketCap https://t.co/CxUbgeoZ0O pic.twitter.com/5AAZ7lqRIT
— indiv (@indiv_0110) January 16, 2018
インフラ関連
Vitalik氏、Fenbunshi Capitalのフルタイムジョブを退任 (1月15日)
Vitalik氏がFenbushi Capitalのフルタイムジョブから退くというニュース。以前からフルタイムでは働いていなかったので、実体としては変わらない気はしますね。アドバイザーとしては残るようです。Sharding, Plasma, Casper等の重要プロジェクトに取り組んでいるVitalik氏に他のプロジェクトに関わる時間はないでしょう。
Ethereum co-founder Vitalik Buterin has left VC firm Fenbushi Capital | TechCrunch
OmiseGO開発者によるPlasma紹介 (1月15日)
PlasmaはVitalik氏とライトニングネットワーク開発者のJoseph Poon氏によって考案された、主にスマートコントラクトのスケーリング問題を解決するための技術で、OmiseGOはPlasmaを用いたPoS形式のサービスを提供するのプロジェクトです。
こちらはPlasmaの簡易説明を行う記事になっています。Plasmaの紹介記事は英語でも少ないので是非。
Construction of a Plasma Chain 0x1 – OmiseGO Network
OmiseGOがPlasmaのMVP(Minimum VIable Product)のレポジトリーをオープン (1月17日)
$OMG Plasma MVP repo open. A work in progress. #OmiseGO #Plasma #scaling #ETHEREUM https://t.co/fujetKQmtZ
— OmiseGO (@omise_go) January 17, 2018
新しいICOの形を模索中
DAICOについては記事で紹介しましたが、Interactive ICOというものも提案されています。
Interactive ICOには、IICO参加時にトークンセール参加者がPersonal valuation capというものを設定し、トークンセール中にその額を超えた場合、自動的に投資を見送ることができるというような機能があります。
Building the Interactive Token Sale – Modular-Network – Medium
DAICOもIICOもまだ実用段階にはありませんが、現行のICOが健全とは到底言えないので、時間を経て徐々に形を変えていくのだと思います。
Ethereum関連プロジェクトの動向
Aeternityの開発状況報告 (1月13日)
主にオラクルとスマートコントラクトに関する開発報告
State of Development: Week of Jan 8th, 2018 – æternity blog
MUFGがハッカソンの開催を発表 (1月15日)
Ethereumにどの程度関連があるかは不明ですが、MUFGコインの説明に「※スマートコントラクトをデプロイすることも可能です。」という文言があり、MUFGはEEA(Enterprise Ethereum Alliance)のメンバーでもあるので一応紹介。
- 日本初の金融機関によるデジタル通貨のハッカソン 三菱東京UFJ銀行 主催「Fintech Challenge 2018」開催の支援決定|株式会社サムライインキュベートのプレスリリース
- 三菱東京UFJ銀行 Fintech Challenge 2018 Color the world, Color your life #MUFGCOIN | 三菱東京UFJ銀行
EEAについてはこちらをご覧下さい。
Enterprise Ethereum Alliance (PDF)
ハードウェアウォレットのLedgerが7500万USDを調達 (1月18日)
ビットコインやEthereumなど複数の通貨をサポートするハードウェアウォレットを製造するLedgerがDraper Espritなどから資金を調達。
Ledger raises USD 75 million to secure cryptocurrency assets – Ledger
出資側「Draper Esprit」からのLedgerに関する記事はこちら。
Securing cryptoassets and blockchain applications: our investment in Ledger
Nano Sの売上は好調みたいですね。
地味に凄いニュース。ハードウェアウォレットのNano Sの販売数が100万台を突破。 https://t.co/ByUQCNT0m7
— indiv (@indiv_0110) January 17, 2018
メディア関連
ライトコイン開発者によるCasper批判 (1月12日)
非常に長いのでブログにでもまとめて頂きたいのですが、PoWとPoSを比較し、どの点においてPoSが成り立たないのかを指摘しています。
PoWの電気代が価値の源泉となっているという従来の説に加えて、PoWにおける攻撃者は攻撃と同時にコストを支払わなければならない一方で、PoSにおける攻撃者は攻撃の後にコストが発生する(Slasherの発動によってステイクを没収される)点、しかも攻撃者は別のチェーンに移動することができるため、攻撃が発生したチェーンにおける懲罰が有効に機能しないという指摘が興味深かったです。
1/ Here’s why I think Ethereum & Proof-of-Stake are bad ideas.
— Hugo Nguyen (@hugohanoi) January 12, 2018
これに対し、Ethereum開発者のVitalik氏は自身のCasperに関するブログ記事とGithubへのリンクを紹介し、Vlad氏は相手にせず、という対応でした。
Ethereumプログラミング入門教材 (1月16日)
世界にはWebプログラマーがあふれている一方で、仮想通貨デベロッパーは欠乏状態にある。そして両分野を隔てる溝は容易に超えられない。そこで私は、自分たちでEthereumベースのプロジェクトを設計開発した経験を踏まえ、Webデベロッパー向けにオープンソースのチュートリアルを作った。
WebプログラマーのためのEthereumプログラミング入門 | TechCrunch Japan
資料はこちら。登録すればダウンロードもできます。
Webthereum by TechCrunch on Scribd