ブラジルとアルゼンチンのビットコインコミュニティがSegwit2Xに反対する11の理由

ブラジルとアルゼンチンのビットコインコミュニティが共同でSegwit2Xに対する反対表明を行いました。賛同者には6万5千人のユーザーを擁するBitcoin BrasilやBitcoin Argentina forumなどが含まれています。私自身、南米のビットコインコミュニティについて詳しいわけではなく、また暗号通貨界において南米のプレゼンスが高いわけではない(ベネゼエラ等のハイパーインフレ国家におけるビットコインの役割という意味では注目されていますが)ですが、以下の声明はSegWit2X(以下S2X)に対する反対派の意見として要点がまとまっており、「そもそも何故S2Xを支持しない人が多いのか?NewYork Agreement(以下NYA)で、合意に至ったのではないか?」という意見に簡潔に答える内容になっていたので、和訳して紹介します。ちなみに私はビットコインキャッシュに対しては中立的ですが、SegWit2Xに対しては懐疑的な立場(誰が得するのか分からない)を取っています。

1)プロポーザルではなくアグリーメントである

少数の利害関係者間のコンセンサスプロトコルに関するアグリーメントは、ネットワークに対する攻撃とも捉えられる。ビットコインのガバナンスモデルは発展途上ではあるが、それでも機能不全には陥っていない。またプロトコルを容易に変更できないことはビットコインの強みでもある。BIPはビットコインインプルーブメントプロポーザルであり、アグリーメントではない。ユーザーは望まないプロトコル変更を強制されるべきではない。

2)開発と透明性の欠如

最初からS2X開発者の透明性や明確性に欠けている。メーリングリストやSlackチャンネルからの追放などのケースがあり、オープンなコミュニティではない。この問題はいくらか解決されているものの、混乱と疑惑を招いた。その結果、NYAが本当にビットコインスケーリング問題の解決を望んでいるのか、それともガバナンスの乗っ取りのための口実なのか分からないままになっている。

3)技術のアップグレードではなく、政治的妥協である

NYAはユーザーによって望まれていたSegWitの即時導入とマイナーによって望まれていたブロックサイズの2MBへの引き上げの妥協案であったが、これはいくらかの開発者が研究とプロポーザルを行うと約束したに過ぎない。分散型コンセンサスプロトコルにおける妥協は深刻な問題を引き起こす。コンセンサスレイヤーにおける変更は、マイナーであれ、ビジネスマンであれ、開発者であれ、特定の参加者が主張しているというただそれだけの理由で実施されるべきではない。もしそのようなことが起こるのであれば、それは分散型コンセンサスの失敗を意味する。またビットコインは将来におけるより大きな攻撃に耐えきれないだろう。

4)コンセンサスの形成ではなく、コンセンサスの強制である

分散型オープンソースソフトウェアとして、ビットコインプロトコルに対する変更はネットワークのユーザーに強制され得ない。もしS2Xの支持者が変更を提案し、オープンで信用できる議論を行っていれば、分裂は避けられただろう。もしアップグレードが必要ならば、コンセンサスの形成をしようではないか。

5)リプレイプロテクションと不必要な混乱

十分なリプレイプロテクションの実装を拒否することはコミュニティ全体に無謀な印象を与えた。それはあたかもS2Xが意図的に混乱を巻き起こし、ユーザーが降参し、互換性のない実装にアップグレードするのを狙っているかのようである。

6)ユーザーを犠牲にしたマイニング偏重

ビットコインのコンセンサスは、①独立してトランザクションの認証を行うフルノード、②トランザクションを集めブロックを生成するマイナー、③マイナーのブロックを検証するフルノード、④最長有効チェーンを選定するフルノード、によって達成される。コンセンサスを示すためにハッシュパワーを求めるのは無意味である。マイニングはルールが何であるかを定義するものではない。フルノードがルールを矯正し、ネットワークを恣意的な変更から防御する。もしマイナーの独断でプロトコルの変更を行えるような単独のパワーを持っていたら、ビットコインは堅牢でセキュアなネットワークにはならないだろう。

7)慎重さの欠如

ハードフォークは、後方互換性の放棄である。故にコンセンサスなきハードフォークはチェーンの分裂を意味する。数百万のユーザーによって仕様される数兆円の価値があるネットワークとって、十分な計画とテスト、そして準備がベストプラクティスのはずである。残念ながらS2Xの実装は性急に行われ、ユーザーの大部分が取り残されてしまう危険性がある。我々はチェーン分裂の危険性がオープンで徹底的なテストによって軽減されることを願う。後方互換性とセキュリティ問題の軽視が我々を不安にさせる。

8)認識されている問題に対するソリューションではない

我々は高い手数料よりも低い手数料、遅い認証よりも早い認証を好むが、単にブロックサイズを上げるだけでは部分的な解決にしかならない。既に2MBブロックでは十分ではない状況になってきているが、ではブロックサイズ引き上げのために定期的にハードフォークを行うのだろうか?ブロックの詰まりはビットコインプロトコルにとって根本的な技術的問題ではない。それはいくらかのユースケースを妨げることになるが、ネットワークの機能と利便性を危険に晒すものではない。我々がビットコインの検閲耐性特性の優先順位がトップであると考える。

9)リスク、ネットワークとマーケットの同様、潜在的な法的責任の顕在化

チェーン分裂の可能性は取引所、ペイメントプロセッサー、ウォレット提供者に大きな負担をかける。さらにユーザーに余分な警戒を要求し、資産を危険に晒す。ネットワークの混乱を避けることはプロトコルアップデートにおける最大の関心事であるべきだが、S2Xが反対のことを成し遂げようとしているのは残念である。

10)マイナーのミスリード

ネットワークにおける圧倒的な合意が達成されるという約束にサインするようにマイナーがミスリードされた可能性がある。マイナーがbtc1 Coreを走らせると、大部分のユーザーが無効にするチェーンをマイニングすることによって彼らの業務を危険に晒すことになる。マイナーには、「ネットワークにおけるコンセンサスのサインが明確になった場合にハードフォークを行う」ことが推奨され、「いかなる代償を払ってもハードフォークを行う」ことはあってはならない。

11)いくらかの支持者による誤解を招く表明

残念なことに我々が尊敬している企業や協業を行った企業がS2Xに関する誤解を招く表明を行った。それは不注意にもネットワーク上で実際に何が起こっているかという極めて重要な情報をユーザーに提供しないものであった。誰もが自らが望むソフトウェアを走らせる権利を持っているが、顧客は正しくサービスプロバイダーが互換性のない実装を採用しているか、何がリスクであるかを知らさせるべきである。


Why the Brazilian and Argentinian Bitcoin communities oppose SegWit2x