『マスタリング・イーサリアム』の翻訳に参加しました。

スイスのZugにおいてuPortを用いた市民権の証明が可能に

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uPortはEthereumのブロックチェーンを用いたアイデンティティ管理サービスで、現在アルファ版が公開されています。先日メキシコで行われたEthereumの開発者会議「Devcon3」にも登壇しており、現地ではuPortによって用意されたQRコードを用いて、「自分がDevcon3に出席した」証明ができるような企画が用意されていました(これはただの企画で厳密な設計ではなかったと思われます)。また他のプロジェクトの認証機能としても用いられており、予測市場プロジェクトのGnosisでもuPortが身分証明の手段として用いられています

今月15日、uPortはスイスのZug(ツーク)でuPortを用いた公的な登録が可能になったことを発表しました。Zugは首都チューリッヒの南部に位置する小さな街ですが、税金の安さや規制の緩さ(現時点)を武器にクリプトバレーとして暗号通貨プロジェクトを惹きつけつつあります。

ツークに関しては以下の記事をご覧下さい。

今回発表されたのは、Zug市民とZug登録局の両者がuPortが提供するサービスを用いることによって、Zug市民はZug登録局お墨付きの公証をEtherumのブロックチェーンと連動する形で用いることができるというもののようです。公的証明なので、登録の際にZug市民は政府発行のID書類を持って、登録局に出向く必要があります。uPortへの登録と登録局職員による確認を経て認証が与えられるという流れです。

価値の保存や匿名通貨、分散型自律組織など暗号通貨界にいるとド派手で如何にもサイファーパンクっぽい話題が注目を集めがちですが、uPortが自称している「Self-sovereign identity and user-centric data platform」は物凄く重要だと思っています。個人のデータを個人のコントロール下に置き、必要な情報を必要な分だけ、適切なところに振り分けることができる仕組みは、このブログのテーマでもある「個人のエンパワーメント」にも必須なので、今後も追っていきたいと思います。

またuPortは2018年春にuPortのサービスを用いた電子投票を行う計画があることを明かしています。

ブロックチェーンを用いた身分証明サービスにはuPortの他にParity TechnologiesのPICOPSGMOのKYCがあります。PICOPSはICOに参加する際の身分証明としての利用を想定しているようです。費用は0.024ETH(約840円)。Parity TechnologiesはKaspersky Labと共同で、オンライン投票システムを開発しているので、完全に重複しているとは言えないものの複数分野で競合していることになりますね。


First official registration of a Zug citizen on Ethereum